2012年6月3日日曜日

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『ルブリケア1200』とコンドロイチン:グルコサミンの関係

コンドロイチン:グルコサミンの構造式について

コンドロイチン:グルコサミン参考文献一覧

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質疑応答:NIHのグルコサミン・コンドロイチン関節炎介入試験 一次試験

説明資料
米国国立補完代替医療センター(National Center for Complementary and Alternative Medicine)


本試験について

グルコサミン・コンドロイチン関節炎に対する介入臨床試験(GAIT)とは?

GAITは、栄養補助食品であるグルコサミン塩酸塩(グルコサミン)およびコンドロイチン硫酸ナトリウム(コンドロイチン硫酸)の変形性膝関節症の治療に対する効果を調べるために米国で実施された最初の大規模多施設共同臨床試験である。本試験では、グルコサミンとコンドロイチン硫酸をそれぞれ単独で使用した場合、および併用した場合で、変形性膝関節症患者において疼痛緩和が得られるかどうかを調べた。

ユタ大学医学部が当該試験の調整を行い、全米16箇所のリウマチ研究施設において本試験が実施された。アメリカ国立衛生研究所(NIH)の下部組織である国立補完代替医療センター(NCCAM)および国立関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所(NIAMS)がGAITの資金提供を行った。

試験の目的は?

これまで医学文献上、変形性関節症の治療薬としてグルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の効果に関して相反する結果が報告されていた。GAITは、多数の変形性膝関節症患者を対象とし、疼痛緩和におけるグルコサミンとコンドロイチン硫酸の短期的(6ヶ月)な有効性を検証するためにデザインされた。

試験の基本デザインは?

GAITでは、被験者は以下の5つの投与群に無作為に割り付けられた:(1) グルコサミン単独投与群、(2) コンドロイチン硫酸単独投与群、(3) グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用投与群、(4) セレコキシブ投与群、(5) プラセボ(試験薬と外見を同じくする不活性物質)投与群。関節痛の有意な改善が得られるか否かを評価するために、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、およびグルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用とプラセボとの比較が行われた。試験デザインの妥当性を確認するために、変形性関節症の疼痛管理に有効な処方箋薬であるセレコキシブとプラセボとの比較も行われた。

結果にバイアス(偏り)が生じるのを排除するために、試験は二重盲検法で行われた。すなわち、研究者も被験者も、被験者が5つの治療群のどの群に割り付けられているか判からないように試験が行われた。被験者は24週間投与を受けた。試験開始時、第4週、第8週、第16週および第24週の時点で被験者は評価を受け、症状の改善状況および試験薬の副作用の発 現の可能性に関し厳重なモニタリングが行われた。各被験者の変形性関節症の診断はX線検査により確認された。さらに、被験者は2つの疼痛サブグループに層別化された- 軽度疼痛(1,229人、78%)および中等度~重度の疼痛(354人、22%)。


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「治療に対する好ましい反応(治療効果あり)」とは、「第24週の時点で試験開始時と比較し、疼痛の20%以上の軽減」と定義されていた。試験期間全体を通して、被験者は全員、変形性関節症による疼痛をコントロールするためにアセトアミノフェン(1日最大4,000 mg、頓用)の使用が許可された。ただし、膝(関節)の状態の評価を受ける前の24時間はアセトアミノフェンの使用は禁止されていた。アセトアミノフェンの使用は少なく、被験者のアセトアミノフェン使用は平均で1日あたり1000 mg (500 mg錠を2錠)未満であった。

GAITの費用は?

GAIT一次試験の費用は1,250万ドル強であった。

試験の背景

変形性関節症とは何か?

米国において推定2,700万人の成人が変形性関節症に罹患しており、変形性関節症は関節炎の中でも最も発症頻度が高い。変形性関節症は、別名で変形性関節疾患とも言われ、関節内の骨の両端で緩衝作用を果たす結合組織である軟骨の磨耗が原因となって引き起こされる。変形性関節症の特徴として、疼痛、関節の損傷、および行動の制限がある。一般的には高齢期に発症し、膝などの体重を支える大きな関節や手に発症することが最も多い。この疾患の危険因子は、年齢、女性、および肥満である。

グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸とは何か?

グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸は、軟骨の細胞内やその周囲に見られる自然の成分である。グルコサミンは体内で産出されるアミノ糖の一種であり、軟骨や他の結合組織に分布している。またコンドロイチン硫酸は軟骨の水分維持を助ける複合糖質である。米国では、グルコサミンとコンドロイチン硫酸は栄養補助食品として販売されており、医薬品としてではなく、食品としての規制を受けている。

セレコキシブとは何か?

セレコキシブ(製品名:セレブレックス)は非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の一つで、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤と呼ばれる。従来のNSAIDと同様に、セレコキシブは体内において炎症を促すCOX-2酵素を阻害する。しかし、従来のNSAIDsとは異なり、セレコキシブは胃内壁を保護することで知られているCOX-1酵素の作用を抑制しない。その結果セレコキシブは、消化管の潰瘍形成や出血のリスクを低下させた状態で関節痛や炎症に対する緩和効果を発揮する。最近では、COX-2阻害剤と心血管系の副作用の可能性を関連付ける報告が出ている。GAITはセレコキシブの安全性を調査するようデザインされた試験ではないが、有害事象については被験者に対してモニタリングが行われており、心血管系の副作用の増加は認められなかった。

それぞれの投与群に対して使用された投与量は?

GAITで使用された投与量は一般的な科学文献で見られる投与量に基づいた。
・グルコサミン単独投与:1,500 mg/日、1回500 mgを1日3回
・コンドロイチン硫酸単独投与:1,200 mg/日、1回400 mgを1日3回
・グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用投与:同じ投与量-それぞれ1,500 mg/日および1,200 mg/日
・セレコキシブ:200 mg/日
・アセトアミノフェン:被験者には、疼痛の評価を受ける前の24時間を除き、疼痛のコントロールのため、1日最大4,000 mg(500 mg錠)までの使用を認めた。


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GAITで使用したグルコサミン製品およびコンドロイチン硫酸製品を製造するための原材料の提供者は?

・グルコサミンはWilke Resources社を介してFerro Pfanstiehl Laboratories社(ウォーキーガン、イリノイ州)から一部無償提供された。
・コンドロイチン硫酸はBioiberica社(バルセロナ、スペイン)から無償提供された。
アルバカーキ退役軍人管理局(Albuquerque Veterans Affairs:VA)の共同試験プログラム臨床試験用調剤局(Cooperative Studies Program Clinical Research Pharmacy)が試験薬の製造を行った。

その他の試験薬の入手先は?

・アセトアミノフェンはMcNeil Consumer and Specialty Pharmaceuticals社(フォートワシントン、ペンシルべニア州)から無償提供された。
・セレコキシブはファイザー社から購入した。

試験はどこで実施されたか?

ユタ大学医学部(ソルトレークシティ、ユタ州)が試験の調整センターとなり、16の研究施設における調査活動および試験参加者の募集の監督を行った。ユタ大学医学部教授リウマチ科長のDaniel O. Clegg医学士が試験の指揮をとった。GAITの生物統計学者は、本試験のデータ管理・解析センターとなったハインズVA共同試験プログラム(Hines VA Cooperative Studies Program)のDomenic J. Reda博士であった。アルバカーキVA共同試験プログラム臨床試験用調剤局(Albuquerque VA Cooperative Studies Program Clinical Research Pharmacy)のCrystal L. Harris薬学士がGAITの臨床試験薬剤師(Clinical Research Pharmacist)となり、同調剤局がGAITを実施する上での規制に関連するサポートを行うとともに、試験薬の製造、包装、配布を行い、解析結果の提供を行った。16箇所の研究施設とその治験責任医師は以下のとおりである。
・アラバマ大学バーミンガム校(バーミンガム、アラバマ州):Larry W. Moreland医師
・アリゾナ大学(ツーソン、アリゾナ州):David Yocum医師
・シーダーズ・サイナイ・メディカルセンター(Cedars-Sinai Medical Center)(ロサンゼルス、カリフォルニア州):Michael Weisman医師
・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(ロサンゼルス、カリフォルニア州):Daniel Furst医師
・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(サンフランシスコ、カリフォルニア州):Nancy Lane医師
・ノースウェスタン大学(シカゴ、イリノイ州):Thomas J. Schnitzer医師
・インディアナ大学(インディアナポリス、インディアナ州):John Bradley医師
・関節炎研究・臨床センター(The Arthritis Research and Clinical Centers)(ウィチタ、カンザス州):Frederick Wolfe医師
・ネブラスカ大学医療センター(オマハ、ネブラスカ州):James O'Dell医師
・(ニューヨーク大学医療センター)関節疾患病院(Hospital for Joint Diseases)(ニューヨーク、ニューヨーク州):Clifton Bingham, III医師
・ケースウェスタンリザーブ大学(クリーブランド、オハイオ州):Michele Hooper医師
・ペンシルベニア大学(フィラデルフィア、ペンシルベニア州):H. Ralph Schumacher, Jr医師
・ピッツバーグ大学(ピッツバーグ、ペンシルベニア州):Chester Oddis医師
・ダラス・プレスビテリアン病院(Presbyterian Hospital of Dallas)(ダラス、テキサス州):John J. Cush医師
・ユタ大学(ソルトレークシティ、ユタ州):Christopher G. Jackson医師
・ バージニア・メイソン医療センター(Virginia Mason Medical Center)(シアトル、ワシントン州):Jerry Molitor医師


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主な結果

本試験で得られた主な結果は?

研究者らにより以下が判明した:
・ プラセボとの比較において、実薬対照薬であるセレコキシブを服用した被験者で統計学的に有意な疼痛緩和が認められた―すなわち、疼痛が20%以上軽減した被験者の割合は、セレコキシブ投与群で約70%であったのに対し、プラセボ投与群では約60%であった。
・ 全般的には、その他の投与群とプラセボ投与群との間に有意差は認められなかった。
・ 中等度から重度の疼痛を有する被験者サブセットに関し、プラセボ投与群と比較してグルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用投与群で統計学的に有意な疼痛緩和が認められた ― すなわち、疼痛が20%以上軽減した被験者の割合は、グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用投与群で約79%、プラセボ投与群で約54%であった。研究者らによると、このサブグループに該当する人数が少ないため、これらの知見は予備的(暫定的)なものと見なすべきであり、今後の研究において確認する必要があるとのことである。
・ 軽度の疼痛を有する被験者サブセットに関し、グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用投与群、またはそれぞれの単独投与群で統計学的に有意な疼痛緩和は認められなかった。

試験には何人参加したか。また、どのような人が参加したか。

本試験には合計1,583人が参加した。年齢が40歳以上であること、膝の痛みがあること、およびX線検査により変形性関節症であることが確認されていることを本試験への参加基準とした。本試験開始前に、グルコサミンを3ヵ月間およびコンドロイチン硫酸を6ヵ月間使用することを禁止とした。被験者の平均年齢は59歳前後で、全被験者のほぼ3分の2が女性であった。試験に参加した1,583人のうち、78%(1,229人)が軽度疼痛サブグループに、22%(354人)が中等度から重度の疼痛サブグループに属した。

治験薬の副作用はあったか。

本試験期間中に77件の重篤な有害事象が報告された。これら77件のうち、治験薬に起因するものは3件のみであった。ほとんどの副作用は胃不調等の軽度なものであり、投与群間で等しくみられた。なお、GAITは耐糖能異常や心血管系事象のリスクの調査を目的としてデザインされた試験ではないが、グルコサミンで耐糖能異常は観察されず、セレコキシブでも心血管系事象の発現率の増加は認められなかった。

一般消費者向け情報と次なるステップ

変形性関節症患者はグルコサミンとコンドロイチン硫酸を使用するべきか。

変形性関節症を有する患者は、担当医の協力の下、関節症の総合的な疼痛管理計画を立てるべきである(正しい食習慣をつける・運動する・余分な体重を落とす・有効性が証明されている鎮痛剤を使用する)。中等度から重度の疼痛がある患者は、グルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用療法が治療選択肢として適切であるか否かについて、担当医と話し合うべきである。


米国の消費者は、GAIT試験で使用されたグルコサミンおよびコンドロイチン硫酸含有製品を入手することができるか。

同一の製品を入手することはできない可能性がある。GAIT試験は米国食品医薬品局(FDA)に新薬臨床試験開始届(IND)を提出した上で実施された。本試験で使用されたすべての製品(グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸含有製品)は、当該試験用に開発されたものであり、FDAの薬事規制の対象である。これらの医薬品は、FDA認可の臨床研究薬学センター(clinical research pharmacy center)であるVA共同試験プログラム臨床試験用調剤局(VA Cooperative Studies Program Clinical Research Pharmacy)で審査され製造された。試験で使用されたグルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の各バッチに関し純度、力価、品質、および同等性のテストが行われた。試験期間を通じて、安定性に関する試験が繰り返し行われた。

GAITチームは他にもグルコサミンとコンドロイチン硫酸に関する研究を行ったか。

行った。GAIT試験には、これらの栄養補助食品が変形性膝関節症による構造上の損傷を軽減できるかを調査するための追加的(補助的)研究が元々含まれている。この補助的研究では、GAIT試験参加者のうち希望者に対し、それまで受けてきた試験治療を更に18ヵ月間延長し、合計2年間にわたって治療を受ける機会を提供した。補助的研究終了時点で、GAITチームは581の膝関節に関するデータを収集していた。X線検査データを評価した後、研究者らは、変形性膝関節症において、プラセボよりもグルコサミンおよびコンドロイチン硫酸の併用投与または単独投与の方が軟骨の損失を遅らせる効果が高いとは言えないようであると結論付けた。しかし、プラセボ投与を受けた被験者の軟骨損失(つまり、膝関節裂隙の狭小化)が予想よりも軽度で あったため、研究結果を解釈するのは複雑で分析しづらいものであった。この結果はArthritis & Rheumatism誌の2008年10月号に掲載された。NCCAMのプレスリリースは、nccam.nih.gov/news/2008/092908.htmで読むことができる。

詳細に関する問い合わせ先

NCCAM情報センター(NCCAM Clearinghouse)

NCCAM情報センターでは、科学文献および医学文献の出版物や、これらに関連した連邦データベースの検索等を含め、補完代替医療(CAM)およびNCCAMに関する情報を入手することができる。当該情報センターでは、医学的なアドバイス、治療法の推奨、またはプラクティショナー(開業医)への紹介は行っていない。

 電話番号:1-888-644-6226(米国内フリーダイヤル)
 テレタイプライター番号(難聴または耳の不自由な方のための専用回線):1-866-464-3615
 ウェブサイトURL:nccam.nih.gov
 電子メールアドレス:inf

米国国立関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所(National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)(NIAMS)

NIAMSでは、関節炎および骨格筋・皮膚疾患の原因、治療ならびに予防に関する研究、科学者の教育、および研究に基づく情報の共有の支援を行っている。

 ウェブサイトURL:www.niams.nih.gov
 電話番号:1-877-22-NIAMS(米国内フリーダイヤル)

栄養補助食品室(Office of Dietary Supplements)(ODS)

ODSでは、科学的情報の評価、研究支援、研究結果の共有、および一般の人々への教育を通じて、栄養補助食品の知識と理解を深めるよう努めている。情報供給源には、公表文献およびInternational Bibliographic Information on Dietary Supplements Database(栄養補助食品に関する文献を集めた国際的データベース)が含まれている。

 ウェブサイトURL:www.ods.od.nih.gov
 Eメールアドレス:od


米国食品医薬品局(FDA)

FDAでは、食物、医薬品、栄養補助食品、医療機器、および化粧品等、数多くの製品の監視を行っている。

 ウェブサイトURL:www.fda.gov
 電話番号:1-888-463-6332(米国内フリーダイヤル)

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国立衛生研究所
米保健社会福祉省



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